【かんだ やぶそば】
◆そば屋の営業時間◆
 日本人がそば(そば切り)を食べるようになったのは、江戸は慶長年間あたりからのようですが、では、そばを売る飲食店が出てきたのはというと、それから50年ばかり後のことです。
ところが、ちょうどその頃、寛文元年(1661)にお触書が出ました。曰く、飲食店は暮六ツ(午後6時)以降は商売をしてはいけない、露店や荷台を引いて歩く煮売りの行商も夜の営業は禁止。火災が頻発していたために、こんなお触れとなったのです。
江戸っ子といえば、仕事が終わると銭湯で熱い熱い湯にザブリと浸かり、そば屋で軽く日本酒をひっかけ、仕上げにそばを食べてサッと帰る――こんな話が象徴的に語られますが、もしかしてこれは店が早く閉まってしまうことから生まれた生活形態を美化する、苦肉の言い訳だったのかもしれません。
それはともかく、実際は触書があろうと、そば屋が夜の寄合場になったことも多かったはずですし、夜そば売りは真夜中まで町を回り、やがては公認となりました。お上の思うようにいかないのが庶民というものなのでしょう。
平成10年から、当店では午後7時看板だった営業時間を8時閉店といたしました。若干の変更ではありますが、昼休みのない店としては、今はこれで精一杯。人々の生活の中でそば屋が生き生きと存在し続けていくための、ほんのささやかながんばりです。
そば
かんだ やぶそば
●千代田区神田淡路町2-10
●03(3251)0287

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