【とらや】
◆「羊」「羹」の話◆
羊羹の「羹」の字は。単独では「あつもの」と読みます。そして、中国ではスープのことをさします。「羹(あつもの)にこりて膾(なます)を吹く」ということわざがありますが、これも熱い汁で舌をやけどしたので、膾のような冷たい料理までフウフウ吹いて冷ます、つまりは無益な用心を笑うものです。
 では、なぜお菓子の羊羹が、「羊の汁」という意味の字なのでしょうか。これは、日本に羊羹を伝えた禅僧たちが、羊肉(または羊の肝)の代わりに小豆や小麦粉などを蒸し固めるなどして、似た形、似た色の精進料理を作り、それがやがてお菓子としても供されるようになったという解釈です。
 実際、16世紀に書かれた史料に登場する羊羹は、「箸で割って食べ、汁も飲む」と書かれていますから、この頃までは本来の「羊羹」の形態を留めるものがあったようです。
また、紀元前に記された中国の『史記』には、戦を前に羊羹を配ったところ御者に行き渡らず、怒った御者が将軍を乗せたまま敵陣に走り、羊羹一つで戦に負けた逸話も残っています。
さて、それほどのご馳走だった「羊羹」とは、どんな食べ物だったのでしょう。ちょっと味見してみたい気がしませんか?
御菓子司
とらや
●港区赤坂4-9-22
●0120(45)4121

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