【木村屋總本店】
◆江戸わずらいにパンが効く◆
 江戸時代、お江戸に長く滞在している商人や武士たちが下半身がしびれたり膝下に浮腫ができて歩行困難になることがしばしばありました。不思議なことに、本国に戻るとまもなく快癒するのです。そこで、この奇病は「江戸わずらい」などと呼ばれていました。
この病気、実は”脚気“なのです。麦飯や雑穀を食べている田舎の生活から白米中心の食生活に一変することで発症するビタミンB1欠乏症。ただ、当時は原因も治療法もわからず、脚気は明治を迎えても蔓延していました。
そんな患者の一人に、乃木将軍の親友で、桂弥一という軍人がいました。その入院先にいたドイツ人医師が、こんな提案をしたのです。
「この病気はドイツでもフランスでも見たことがありません。もしかしたら、西洋風にパンを食べたら治るかも…」
パンと牛乳による食事療法を続けること10カ月。桂さんは回復しました。その時に用いられたのが当店の食パン。噂は広がり、病院には脚気患者が押しかけ、入院できない人々は創業3年目の当店にパンを買い求めにおいでになりました。珍しい食べ物だったパンが、このときから、まずは絶好の病人食として一般の人々にも広く知られていったのです。
鈴木梅太郎博士が脚気の原因を突き止めたのは、明治43年(1910)。もう少し先のお話です。
パン
木村屋總本店
●中央区銀座4-5-7
(地下鉄銀座駅から徒歩1分)
●03(3561)9373

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