東京BRAND 老舗のコンシェルジュ
 
今月のお品書き
【第十四回目】
 
銀座阿波屋:疲れない草履、痛くない下駄、そしてきれいな足元
 
 靴が合わなくて「もう一歩も歩きたくない!!」なんて悲鳴を上げたご経験は、ありませんか? 小さな靴ズレなのに頭痛までしてきて、どんどん機嫌が悪くなったりして。
 こうした履物のトラブルは、和装の世界でもありますよね。私も鼻緒が痛くてたまらず薬局へ飛び込んで絆創膏を買い、指の間と足の甲の計3ヶ所に貼って……という情けない足元で歩いた思い出があります。
 というわけで、今日は歩きやすい、そして痛くない草履・下駄のお店をご紹介しましょう。銀座の名門!泰明小学校のすぐ近くにある「阿波屋」さんです。

 阿波屋は明治4年(1871)に、いまの銀座8丁目、当時は八官町と呼ばれていた地で創業した銀座有数の老舗です。履きやすさにこだわって履物を作り続けてきましたが、昭和初期には“現代”と名づけたコルクの芯に牛革を巻いた工夫が大ヒット。 この草履が、今の革草履の原型になったと言われています。職人の知恵とアイデア、それに銀座という地が要求する洗練されたセンスが商品づくりの根底に流れている、それがこの店です。
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 さて、まずは草履からご紹介しましょうか。店内を見回すと上品かつシンプルなものばかりで、きらびやかな物はほとんど見当たりません。一見、地味。でも、白い足袋を履いて阿波屋の草履を履くと、あら不思議、きれいなんですよ。そして足がほっそりと見える。
 横から見ると船形をしていることにも注目してください。かかとの高低に関わらず同じ傾斜で、上部から底にかけて斜めにカットされています。そして、軽い。実は、1本のコルクを削って形づくっているんです。だから、いつまでも弾力がある。これが阿波屋の草履が歩きやすく、疲れない理由なんですね。
 さらに質の高いものをという方には、伝統的な技法で型作りから仕上げまで全て一人で行っている「手縫い草履」をおすすめします。各部位の貼りあわせなども、接着剤を用いず、針と糸で縫いつけるため、より弾力が生まれ、歩けば草履はしなるように足に吸い付いてきます。

 

 下駄もご紹介しましょうね。阿波屋の下駄は前金と呼ばれる、裏の金具がついていないのが特徴です。そして、細身で可憐な形も特徴。さらに下駄の本体と鼻緒を決めたら、最後は足にあわせて鼻緒をすげてくれるので、まさしく「My 下駄」の完成。本当に飛んで歩けるほどの歩きやすさにきっと驚かれると思いますよ。
 履物で泣いた思い出のある方はぜひ阿波屋をのぞいてみてください。女性がきれいに見える履物、楽しく歩ける履物。その実力のほどを、ぜひ履いて、歩いて、試してみてください。

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