【おうちで学ぼう】

老舗のあるじが語る「各店よもやま話」。今月は「やげん堀 中島商店」と「白木屋傳兵衛」のお話です。

 
■七味いろいろ <やげん堀 中島商店> https://yagenbori.jp/

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七味唐辛子は、当店の初代が寛永2年(1625)に売り出した日本独自のスパイスです。おかげさまで大人気となり、全国へと広まりました。京都の清水坂にある「七味家」さんや、長野の善光寺門前にある「八幡屋磯五郎」さんも、そうして誕生したお店です。
でも、同じ七味唐辛子でも、使われている7つの材料は違います。当店の七味が、江戸庶民が好んだかけ蕎麦に合わせてピリッと辛みの効いた風味を特長としたように、各店がそれぞれ、地元の料理に合う七味が作ったのです。
3店の七味に共通して入っている材料は赤唐辛子、粉山椒、黒ごま、麻の実の4種だけ。あとの3種が違います。
京都の七味家は青海苔、白ごま、しそ。長野の八幡屋はしょうが、陳皮、しそ。そして、当店は焙煎した焼き唐辛子、陳皮、けしの実を加えています。
現代の食卓には、地域色どころか国際色豊かな料理が並びます。ぜひ、いろいろな料理に七味をかけてみてください。食の世界が広がりますよ。
◎やげん堀 中島商店/東京都台東区浅草1-28-3

 

■おめでたい「おまじない」 <白木屋傳兵衛>https://www.edohouki.com/

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奈良の正倉院に、日本最古の箒があることをご存知ですか?
孝謙天皇が758年の初子の日に蚕室を掃く神事に使ったもので、箒はまず、産物の出来を占い、豊作を願う呪具として日本の歴史に登場するのです。
では、箒が掃除用具として使われるようになったのはいつ頃からかというと、どうやら平安時代あたりからのようです。材料はもっぱら竹やワラ、シュロなどで、ホウキグサが用いられるようになったのは畳が生まれた江戸時代。現在使われているイネ科のホオキモロコシで作る座敷箒が誕生したのは江戸も末期になってからですから、箒の進歩はなんとものんびりとしています。
それにしても、掃除用具となってからも、箒は時折、不思議なパワーを秘めた道具に戻ることがありました。たとえば江戸時代には、妊婦のおなかを新しい箒でなでると安産になるという「おまじない」がありました。箒で掃き出すようにラクに新しい命が誕生し、またその子に幸運を掃き寄せようという人々の願いが、箒の古来の意味を思い出させたのでしょう。
今、箒はホコリを舞い上げず、“静かな”掃除道具として見直されています。箒のお掃除でリラックス。昔も今も、箒には不思議な「おまじない」の効力がありそうです。
◎白木屋傳兵衛/東京都中央区京橋3-9-8