【第三十八回目】
上野精養軒:日本の西洋料理の伝統とプライドを味わう
こんにちは。老舗のコンシェルジュです。
皆さんは「上野」というと、まず何を思い浮かべられますか? 西郷さん? 上野動物園のパンダ? それとも春のお花見でしょうか。でも、1年を通して、この地がにぎわっているのは、やはり日本一の芸術・学術の拠点だからでしょう。
国立西洋美術館や国立博物館、東京都美術館といった美術・工芸の宝庫、東京文化会館などの音楽芸術の殿堂、そして国立科学博物館のような最先端のサイエンスを紹介するミュージアムなど、上野には魅力的な施設がいっぱい。まさに毎日がお祭りのようなにぎやかさです。
そんな上野にもう一つ、歴史的な遺産が。でも、こちらは芸術系ではなくて“花より団子”。上野公園の高台に立つレストラン「上野精養軒」のをご紹介します。
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38-b ご存知の方も多いと思いますが、上野精養軒は日本における西洋料理の草分け的存在です。日本の西洋料理の本格的な夜明けは、明治5年(1872)に三条実美、岩倉具視の援助を受けたレストランが築地に開店したことに始まりますが、その店こそが「上野精養軒」の起こり。明治9年に現在の地に支店を出し、やがてここが本拠地となりました。
もちろん当時は、単なる食事処ではありません。開国したての日本にとって、そこは海外の賓客を迎える応接室であり、文化人たちが集うサロン。政治家が、文豪が、画家が、この店で新しい時代の匂いを嗅ぎ、それぞれの道を切り開いていったのです。
38-c その伝統の味が、いまも、この店には脈々と受け継がれています。なかでもメインダイニングの「グリルフクシマ」で供されているコンソメスープやデミグラスソースは、代々の料理長が大切に守り続けてきたこの店の真髄ともいえる味の至宝。昔ながらのレシピに沿って作られているソースのひとしずくにも、日本の西洋料理の歴史とプライドが込められています。結婚式の披露宴などの利用が多いのも、味とともに伝統がかもし出す格調の高さが愛されているんですね。
もちろんグリルフクシマの魅力は、味だけはありません。落ち着いた店内の居心地のよいこと。眼下に、都心とは思えない緑豊かな風景も広がるロケーションは、贅沢そのものです。

上野精養軒の味わいは、同じ建物内にあるハヤシライスで知られる「カフェラン・ランドーレ」のほか、東京文化会館や東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館などに併設された系列のレストラン・カフェでも楽しめます。
美術鑑賞は、思いのほかお腹がへるもの。心も体も幸せに満たす上野での休日、きっといい時間になりますよ。

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