【第三十六回目】
竹葉亭:四季の「土用 丑の日」とうなぎ
こんにちは。老舗のコンシェルジュです。
今年(2009年)の「土用丑の日」は、7月19日と31日。蒲焼きやうな丼に舌鼓を打った方も多いことでしょう。
土用丑の日になぜうなぎを食べるようになったかについては諸説ありますが、一番有名なのが、幕末に活躍した、蘭学者にして科学者であり、画家であり発明家でもあった平賀源内が仕掛けたという説。近所のうなぎ屋から「夏場にウナギが売れないので知恵を貸して」と頼まれ、「本日丑の日」の張り紙を出させたところ、源内先生のお墨付きならご利益があるのだろうと客が押し寄せ、大繁盛したというエピソードです。
もっとも、ウナギの滋養については万葉の時代から広く知られていましたから、この話は源内先生の知恵が勝ったというより、先生のネームバリューで「うなぎ」のハク付けをしたいと考えたウナギ屋さんの勝利! というエピソードなのかもしれませんね。
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ともあれ、こうしたにぎやかな話にも彩られて、夏のウナギ屋さんはどこも大繁盛。東都のれん会には3軒のうなぎ屋さんが入っていますが、今回は江戸末期に創業した「竹葉亭」をご紹介しましょう。
本店は銀座8丁目……いえいえ、やはり「木挽町」の本店、と昔の町名で呼びたいところ。江戸時代の初め、江戸城を大修理の際、材木を挽く職人たちを住まわせたのが地名の由来と伝えられていますが、その後は住宅地として整備がすすみ、さらに現在の歌舞伎座に連なる芝居町として栄えたところです。
大きな構えの店で、料理の流れのなかでじっくりとうなぎを楽しめる座敷席(予約制)は茶の心を感じさせる侘びた造りと静かなもてなし。一方、椅子席は、しっとりとした風情のなかにも気軽な雰囲気があって、居心地抜群。2年連続でミシュランの★評価を与えられたのも、たたずまいからサービスまでが評価されてのことでしょう。
この本店のほか、銀座4丁目交差点すぐの「銀座店」と、横浜駅からすぐの「横浜そごう店」もあります。
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36-c そして肝心のうなぎはというと、じっくり蒸してから何度も返しながら焼き上げる江戸前の調理。甘すぎず、辛すぎないタレは銀座の街が育てた味でしょう。うざく、う巻きといったうなぎを使った一品も上品な味わいです。
それにしても、“本当に”おいしいのは、いつなんでしょう?
お尋ねしたところ「夏はもちろん、冬は冬でおいしく、春夏もまたおいしいですよ」と、うなぎ屋さんならではの、のらりくらりのお返事。でも、えさを吟味し、環境を整えて育てる養殖技術を極めて、本当にあまり季節の差は出ないのだそうです。
そういえば、本来「土用」とは、春夏秋冬の各季節の終わりの18~19日間のこと。四季それぞれの「土用丑の日」に訪れて、味くらべをするのも楽しそうですね。
うなぎを食べて健康に。庶民の食べ物として始まり、広まったうなぎ料理の、究極のご馳走の形が、ここで味わえます。

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