【第二十六回目】
やげん堀 中島商店:江戸生まれの名物、ナナイロトンガラシ
七味唐辛子。ひとふりするだけで香りがぱっと立って鼻を心地よく刺激し、味わいにぐっと深みが加わる不思議な調味料。でも、食欲を増進させたり、新陳代謝を促進したりといった、お薬のような効果もありますね。
それもそのはず、七味唐辛子は江戸は寛永2年(1625)に、漢方薬からヒントを得て生まれた調味料なんです。
26-b 創案したのは、両国の薬研堀(現在の東日本橋一丁目)で辛子屋を営んでいた徳右エ門さん。唐辛子にゴマや山椒、陳皮(ちんぴ)、麻の実など香りや口当たりなども考えて加えて売り出すと、これが庶民のファストフードとして急速に江戸中に屋台を増やしていた蕎麦やうどんに合うと大ヒット。江戸っ子たちが「やげん堀のナナイロトンガラシ」と呼びならわす江戸名物となりました。これが現在の「やげん堀 中島商店」の始まりです。
ところで、江戸名物となった七味唐辛子はまたたく間に全国にも広がって、各地で独自の“七味”が生まれました。たとえば長野市の善光寺門前の「八幡屋磯五郎」の七味には生姜(しょうが)が、京都・清水坂の「七味家」の七味には青海苔が入っています。それぞれの土地の気候や食べ物の味に合う材料が選ばれているんですね。
では、七味唐辛子を発明した「やげん堀 中島商店」の“七味”はと言えば、生赤唐辛子、焼き赤唐辛子、粉山椒、黒ゴマ、麻の実、陳皮、けしの実の7種。
浅草・新仲見通りにある店舗では「辛みを控えて」、「山椒を多めにして」などとリクエストをして、マイ七味も調合してもらえます。
あなたの「ナナイロトンガラシ」、作ってみませんか?
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