【第十八回目】
山本山:日本橋で“お茶”しませんか?

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 こんにちは。老舗のコンシェルジュです。
 皆さんは毎朝、何を飲んでいらっしゃいますか? 煎茶? コーヒー? それとも紅茶? 私は、まずお煎茶を2杯いただいてモーニング・ブレイク。朝一番のこの茶が「おいしい!」と感じられたら体調もいい証拠。お茶が、健康のバロメーターにもなっているようです。

 その煎茶党の私が、毎年心待ちにしているのが“新茶”の便り。いや、この時期ばかりはコーヒー党の皆さんも同じ気持ちかもしれませんね。
 あの爽やかな香りと初々しい味わい、鮮やかな緑色は、新茶ならでは。昔の人が “不老長寿の仙薬”、“無病息災 目出多(めでた)の薬”などと言って珍重していたのもわかる気がします。

 実際、お茶に含まれるカフェインには疲労回復効果や脳を刺激して頭の働きを活発にする効果がありますし、ビタミンCは肌荒れ防止や動脈硬化に効果的、タンニンは腸の働きをよくして便秘や下痢を防ぐ効果もあるとか。お茶は、そのおいしさを楽しむためだけでなく、知らず知らずのうちに日本人の健康を支えていたんですね。

 では、お茶の老舗のご紹介をいたしましょう。日本橋の「山本山」。もう、ご紹介する必要もないくらい有名ですね。元禄3年(1690)創業で、海苔の老舗としても知られていますが、実はお茶の歴史の上で重要な役割を果たしてきたお店なのです。

 たとえば私たちが何気なく飲んでいる煎茶も、山本山の4代目が、どこの茶商も相手にしなかった「それまでにない製法で作った新タイプのお茶」に目をつけ、売り出したことから一般に広まったという歴史があるんです。お茶を飲むという私たちの日常が、こんなところから始まっていたなんて。ちょっとビックリ。

 さて、山本山の日本橋本店ですが、入口を入ってすぐのところに「おくつろぎ処」が設けられていて、素朴な雰囲気のなかで煎茶と甘味(人形焼、どらやき、みたらし団子など)がリーズナブルに楽しめると大人気。また、店の奥には、お好みの煎茶をはじめ抹茶や玉露などと一緒に、日本橋の老舗菓子司「長門」とコラボレーションしたお菓子がいただける「喫茶室」もあります。
 「老舗の本店なんて、なんだか敷居が高くて……。“山本山”ならデパートにも入っているから、そちらへ行くわ」なんていう人も、これなら入りやすいでしょう?
 おいしいお茶を、より多くの方々に味わっていただきたいというお茶の老舗の心が伝わってくる空間。本店らしい気品とともに、ホッとくつろげる雰囲気のなかでいただく一服のお茶。ほんとに、おいしいですよ。

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