【新橋 玉木屋】
◆裏口からのお客様◆
 明治5年、新橋―横浜間に日本初の鉄道が開通しました。ご存知「汽笛一声新橋を」、日本の鉄道の夜明けです。
当初の蒸気機関車の定員は約200人。1日6便ほどが運行され、横浜までは約40分。決して安い値段ではなかったのですが、まさに「時は金なり」。乗客の8割が商売人だったそうです。
さて、こうなると新橋はいよいよ人が集まり、最先端の情報が集まる町となりました。人が集まれば、接待の場も必要になる。新橋の花街がにぎやかになったのはいうまでもありません。
ところで、その頃から当店に芸者さんたちがよくお見えになるようになったそうです。それも裏口から。
当店の創業当時からの名物は座禅豆。岩手県の渋民村産の黒豆をふっくらと煮き上げたものですが、芸者さんたちのお目当ては、その煮汁です。毎朝、見番で行われる歌舞練習の前に立ち寄って一口飲むと、声がよく出るようになるとのことでしたが、過労気味の身体に黒豆の鉄分やビタミンが効いたのかもしれません。飲んだとたんに、素顔の芸者さんたちの白い頬に、ぽっと紅がさしたと伝え聞いています。
佃煮
新橋 玉木屋
●港区新橋1-8-5
●03(3571)7225

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