about_avartar「東都のれん会」は、江戸の昔より明治初年にかけて創業された、百年以上の伝統を有する、古いのれんの店の集いです。
戦後の混乱が続く昭和二十六年、代々の家業を守りつつも相助け励まし合い、のれんを守り育てて発足し、今日の「東都のれん会」には五十四軒がその名を連ねております。
申し上げるまでもなく、老舗という言葉は店みずから言うことではなく、長年にわたる店の精進から得たお客様の信用の積み重ねによって得られることになります。
温故知新。のれんに頼ることなく、一業一品にこだわりつつ、それぞれの伝統を見詰め常に新しいことをめざす・・・・このたゆまざる努力が、お客様とのつながりをさらに深める絆になるものと信じています。
本ホームページを通して“のれんの心”の一端をご理解いただき、「東都のれん会」に親しんでいただくと共に一層のお引き立てを賜ります様お願い申し上げます。
昭和26年(1951年)第二次世界大戦後、東京は漸く戦災の荒廃から立ち直ろうとしていました。古くから江戸・東京で商いしてきた私達は、このままでは古き良き伝統が失われてしまうのではないかという危惧を抱き、手を携えて伝統の継承と発展を共に目指すことを目的として本会を発足させました。江戸と東京を一語で表すため『東都』と『老舗』を己で名乗るのもおこがましいと『のれん』の二語を採って会名としました。
以来60年余、会員相互の親睦を軸に、情報の交換をし、お客様との接点にと、東京駅地下などで協同の広告を掲載する他、日本橋高島屋を始め、幾つかの催しものを開催するなど様々な活動を展開してまいりました。
その中には昭和44年から最近まで行われた日本橋三越の名物催事『東都のれん会老舗の会』がございます。毎年趣向を凝らし、商品をご提供するだけでなく、江戸文化もお目に掛ける意気込みで取り組んでおります。
多少の会員の入れ替わりはありましたが、『三代、100年、同業で継続し、現在も盛業』という加盟店50余店は変わらず伝統の継承と、発展に努力を続けています。
東都のれん会は、全店が江戸・東京で100年をゆうに超える歴史を紡いできた老舗の集まりです。では、「老舗」とはどういう店のことをいうのでしょうか。様々な説がありますが、東都のれん会の加盟店は、「老舗」の名にふさわしい店づくりを進めています。

老舗とは?
池田弥三郎
以来60年余、会員相互の親睦を軸に、情報の交換をし、お客様との接点にと、東京駅地下などで協同の広告を掲載する他、日本橋高島屋を始め、幾つかの催しものを開催するなど様々な活動を展開してまいりました。

店の物語は、それがしにせであるならば、同時に顧客の物語でもある。…(中略)…民衆の嗜好、大衆の肩入れが、老舗の歴史の一半を形成してきたのである。…(中略)…しかし、老舗の歴史は、それだけではない。そうした烈しい起伏の渦中にあって、事態に即応した、いわば「流行」の中に、いかにして「不易」を護り続けていくかという、苦心の歴史でもある。言葉を替えて言うならば、「攻勢」と「守勢」との、時にあたっての対応が、しにせをしてしにせたらしめて来たとも言えるのである。(『東京の志にせ』、池田弥三郎編、アドファイブ出版局、1978)

細田安兵衛(東都のれん会会長、榮太樓總本鋪相談役)
老舗の語源は、仕似(しにす)。仕事(なすこと)を似せる(まねる=学ぶ)こと。つまり、なすことを学ぶことによって、仕事を正しく継承し、次の者に代々伝承していっている店を「しにせ」と呼ぶようになった、と聞く。ちなみに「しにせ」という言葉が先で、「老舗」という漢字は後で充てられた。
なお、老舗経営者の精神的支柱である「のれん」とは、守るものではなく、磨き、育てるものである。

『大辞林』第三版 〔動詞「しにす(仕似)」の連用形から〕
代々同じ商売を続けている店、由緒正しい古い店。(三省堂、2006)

『広辞苑』第二版補訂版
先祖代々の業を守りつぐこと。先祖代々から続いて繁盛している店。また、それによって得た顧客の信用・愛顧。(新村出編、岩波書店、1976)。

帝国データバンク編『百年続く企業の条件』
創業・設立から100年を経過した企業。(朝日新聞出版、2009)

エノキアン協会≪Les Hénokiens/本部:パリ≫の加盟資格
200年以上の歴史を持ち、創業者の子孫が現在も経営者または役員である会社であること、健全経営であること。

日本の「老舗」の概要(帝国データバンク調査発表資料,2011)
【全国の老舗について】
1912年までに創業した老舗企業は、全国で2万4847社。
うち165社が、江戸開府以前(1602年以前)の創業。最古の企業は寺社仏閣建築の金剛組(大阪市)、2位は池坊華道会(京都市)、3位は西山温泉慶雲館(山梨県)。
都道府県別の「老舗輩出率」は、京都府がトップ。以下、山形県、島根県、新潟県、滋賀県と続いている。東京都は42位。
業種別では清酒製造がトップ(765社)で以下、酒小売、旅館ホテル、呉服・服地小売。

【東京都の老舗について】
都内にある老舗企業は2328社で、数では日本一。うち江戸開府(1602)以前の創業は18社、江戸時代の創業は209社、明治時代の創業は全体の9割超にあたる2101社。
業種別では貸し事務所業(122社)が最多。以下、大学(64社)、印刷業(39社)、酒類卸業(38社)、高等学校(34社)と続いている。

*2011年7月末時点の企業概要データベース(139万社収録)などから老舗企業(明治末年の1912年までに創業した企業:個人営業、各種法人含む)を対象に調査

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