10月25日、浅草寺の宝蔵門にかけられている「小舟町大提灯」が12年ぶりに掛け替えられ、新調された提灯がお目見えしました。
この大提灯、実は360年を越えて、日本橋小舟町の町会が寄進しているもの。三代広重が描いた浮世絵にも、ほら、このとおり「小舟町」の提灯が描かれています。
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広重,『東京名所浅草金竜山従境内向嶋隅田川之景』より(国立国会図書館蔵)
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■「伊場仙」吉田誠男さん(小舟町 町会長)が紹介する浅草寺「小舟町大提灯」の寄進

吉田誠男さん

浅草寺で行われた「小舟町大提灯」の奉納式(2026年10月25日)
年間3000万人以上が訪れる浅草・浅草寺。その本堂の手前に建つ朱塗りの楼門・宝蔵門に、「小舟町」と書かれた巨大な提灯がかけられています。大きさは、高さ3.75m、幅2.7m、総重量400㎏超。まさに浅草寺を象徴する風景の一つです。実はこの大提灯、江戸初期の万治2年(1659)以来、私ども日本橋小舟町の町会が寄進を続けているものなのです。
江戸時代の日本橋小舟町は、南に日本橋川が流れ、北に日光街道・奥州街道が走る物流の拠点として栄え、なかでも団扇や鰹節を扱う問屋が軒を連ねる一大ビジネス街でした。ちなみに、みずほ銀行も、幕末にこの町で暖簾をあげた両替商・安田商店が前身。繁栄する町の豊かな財政が、大提灯の寄進という形になったわけです。
もっとも、今や小舟町の住民は160名ほどしかおりません。企業が多いエリアとはいえ大丈夫? とご心配の向きもあると存じますが、お金での大きな苦労はありません。
大提灯は⒓~15年ほどの間隔で新調していますが、町会で話を始めるのは奉納して10年を過ぎた頃から。まずは浅草寺様にお話をさせていただき、京都の老舗の提灯屋さんに製作を依頼。完成まで、1年2か月ほどもかかります。
一方、町会では浄財寄進のお願いを始めます。個人は一口3万円、企業は一口5万円。町内はもちろん、小舟町にご縁のある方々にもお声かけをしますが、あっという間に集まります。大提灯は小舟町の人々の誇り。この町のプライドなのです。
このたび新調した大提灯は、まず2026年10月22日に地元の公園で、賑やかにお披露目。そして10月25日、浅草寺で奉納式がありました。奉納式では、浅草新門の皆様の木遣に先導されて仲見世に進み、お練りをしながら宝蔵門の前へ。小舟町町会より浅草寺の貫首大僧正に大提灯の奉納を申し上げ、奉納法要が厳かに執り行われました。
浅草寺に御参拝の折には、ぜひ宝蔵門の前で立ち止って小舟町の大提灯をご覧になってください。その清々しい姿に、江戸から令和へと360年間、歴史を守り継いできた町衆の心意気を感じていただけたら幸いです。

奉納式は宝蔵門の前で行われた

奉納を前に、地元でもにぎにぎしくお披露目を行った
