【竹葉亭】
◆達人の仕事◆
 当店の座敷席は、正面から鉤型に曲がる露地を巡った先に、ひっそりと玄関を設けております。近年、通りに面した一画は建てかえましたが、店の奥半分は関東大震災後の大正13年~14年に建造したもの。2代目がお茶人のご指導をいただきながら建てたもので、私どもも自然の古色を加えてきたこの家屋をなんとか保っていきたいと思っております。そこで、たくさんの職人さんたちに長年、お世話になってきました。
経師屋さんは風間さん、漆塗りは笠原さん。大工さんは市川さんといって、この人は将棋も上手でした。同じく将棋好きの父の姿が見えない時は、たいてい市川さんの仕事場で、将棋板をにらんでいたものです。
畳屋さんは梶川さん。畳の表替えをお願いした畳屋さんが「すごい仕事をしていますね」と思わずうなった腕の持ち主です。今も仕事を続けてくれていますが、大正15年生まれのご高齢とあって、現在は露地の最奥にある茶室だけを担当。「これが生きがい」と言ってくれています。
そうそう、職人さんの話ばかりになって、肝心の鰻の話を忘れておりました。鰻は夏が旬のように言われておりますが、うまく選べば、1年中おいしく食べられる栄養豊かな魚です。達人たちの仕事が残る座敷で、ゆっくりとお召し上がりいただければ幸いでございます。
うなぎ蒲焼
竹葉亭
●中央区銀座8-14-7
(地下鉄東銀座駅から徒歩4分)
●03(3542)0789

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