「宮本卯之助商店」会長・宮本卯之助さん(浅草神社筆頭総代)がご紹介する「三社祭り」

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 5月の第3土曜日を基点とする金・土・日の3日間、浅草神社の氏子四十四ヶ町を中心に「三社祭」が行われます。毎年約180万人もの人を集める日本を代表する祭礼で、大小約100基の神輿(みこし)が練り歩く風景は勇壮にして華麗です。

 浅草神社の本社神輿は、戦前は徳川家光公より寄進された3基をはじめとして7基ありましたが、第二次世界大戦の空襲ですべて焼失し、戦後、宮本卯之助商店が新たに作らせていただきました。当店の代表作の一つであり、浅草で商いを営む私どもにとっては大変な名誉でもあります。

 神輿は木地、漆、彫金、彫刻など、さまざまな工芸分野の匠たちの技の結晶です。御旅所などでゆっくり見ることができるようでしたら、職人たちの誇り高い仕事をご覧ください。とりわけ、神輿の屋根の下から出て、反り上がっている大きな蕨手(わらびて)や極彩色の彩りなどは、「三社型」と呼ばれる浅草神社の神輿ならではの特徴です。

 また、祭りでは神輿の担ぎ手にもご注目を。神輿は「肩でなく腰で担ぐ」と言われていますが、よい担ぎ手は、爪先を立てて腰でリズムを取り、神輿を上下にもみながら進んでいきます。もちろん、祭り衣装をピシッときめていることも肝心です。姿かたちから動きまで、すべてが整ってこそ、氏子の祭り支度なのです。

 神輿担ぎはレジャーではなく、神事です。神様の御霊(みたま)を神輿にお乗せして我が町までお連れし、暮らしぶりをご覧いただく。そして霊力を分けていただき、平穏な日々を願うのです。

 1年に1度、神様と一緒になって楽しむのが三社様のお祭りです。人々が交わり、その感動を共有するうちに地域社会の豊かさが形成されていくのだと思います。
どうぞ、三社祭に足をお運びください。お待ちしております。

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三社祭の「宮出し」風景。平成27年5月、社殿より。(撮影:宮本卯之助)

◎宮本卯之助商店
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